事業の概要

事業の概要について紹介します。
2017-03-28

現状の課題と解決の方策

発明楽 ロゴ

 

近年、急速に進展する少子高齢化により、2025年には65歳以上の人口は30%を超え、生産人口の減少による経済の縮小や国力の衰退が懸念されています。
少子高齢化の諸問題に対応するために、現在最も重要なのは、新しい産業を創出する能力を高め、政府の掲げている「科学技術創造立国」の核となる優れた人材を生み出す新たな教育を行うことです。また、iPSなどの再生医療産業や介護ロボットなどの医療機器産業は、世界中でニーズが高く、今後、日本が主導していかなければならない、重要な分野です。
しかし、現状では、大学の研究から成果が生まれてもそれが製品化や事業化につながっていないという問題があります。国際間の競争が激化するなかでも世界をリードしていくため、常識にとらわれない柔軟な発想と、発案から製品化までの戦略を見据えた教育、さらに産官学の強固な連携による研究開発の現場を通じた実践的な人材育成が望まれています。
鳥取大学では、発明を生み出す技術と心を育むため発明楽(造語:はつめいがく)"を考案し、授業を実施しています。これは、4つの発想方法:たし算(付加)、ひき算(小型化)、かけ算(転用)、わり算(逆転)について、楽しく学ぶ独自の教育ですが、医療分野における新しい技術開発のための柔軟で画期的な発想法です。さらに、鳥取大学では日本で有数の症例数を誇るダビンチ手術や独自の自動推進式内視鏡などの医療機器開発、染色体工学技術を用いた筋ジストロフィー症などの治療法の開発、再生医療を用いた日本初の乳癌手術後患者に対する乳房再建術、世界初の難病に対するシャペロン療法の医師主導治験など、特徴的な医療技術の開発も行っています。
これらの取り組みを発展させ、企業や海外などの開発現場で実践する取り組みを行い、イノベーションを創出する人材を育成することにより、医療の発展のみならず、日本の新たな医療産業の創出に大きく貢献します。

鳥大発独自教育プログラム「発明楽」の実践平成24年度以前 平成25年度〜平成29年度平成30年度以降

事業の概要

本事業では、発明楽による発案を促し、産官学が連携して製品化・事業化の戦略を描き、新しい市場を創造する実践力を養います。具体的には、大学院医学系研究科に「革新的未来医療創造コース」を新設する。本コースでは、鳥取大学が考案した発明楽授業をさらに発展させ、企業の技術者や弁理士、規制当局の専門家等を講師として招き、発案から製品化までに必要な知識を身に付けます。学んだ知識をもとに、革新的医療創造の実践として、鳥取大学が企業と連携して行っている世界最先端の医療・介護ロボット開発などの事業について、大学院生が企業開発現場で研修を行います。また、支援組織として次世代高度医療推進センター内に「産業化臨床研究部門」を設置し、関連組織や企業、海外との調整などを行います。さらに、男女ともに医師としてのキャリア形成とその継続が可能なシステムの構築を行います。


新規性・独創性

本事業では、独創性をもちイノベーションを創出できる人材を育成するために、今までにない発想法を用いた「発明楽」による教育を行い、臨床研究や医療機器開発に必要な知識を身に付けます。また、鳥取大学における最先端の研究を学び、企業や海外での実践を通して、世界の人々に貢献する高いモチベーションをもった人材を育成します。

  1. 「発明楽」による教育
  2. 企業との連携と特許取得の実践教育
  3. 高度な医療技術と臨床研究の実践教育
  4. 東アジアの玄関口である鳥取の地域性を活かした韓国やロシアなどでの実践教育
  5. 「産業化臨床開発部門」の設置による教育支援体制の充実
  6. 「革新的未来医療創造コース」の新設による産業化・臨床教育の実施
  7. キャリア教育

キャリア形成支援

平成22年度よりワークライフバランス支援センターを設置し、病院併設保育所の機能向上や病児保育の充実に力を入れるとともに、幅広い視野をもちリーダーシップを発揮できる女性研究者及び女性医師の育成や、男女がキャリアを継続する際のパートナーシップの大切さを考えることを目的とした研修会を積極的に行っています。また、平成23年度より卒前のキャリア教育で、キャリア形成や臨床におけるリサーチマインドの重要性、女性医師支援に関する講義を行い、鳥取大学として次世代認定マーク(くるみん)を取得しています。卒後10年は、男女医師のキャリア基盤形成期であり、キャリアを方向づける重要な価値観や動機につながる経験を積む時期に相当します。「革新的未来医療創造コース」では、先進的イノベーションに関する専門的知識や研究スキル、臨床応用について学ぶだけでなく、世界を視野に入れた研究者の思考過程やライフ・スタイルに触れることが可能になります。これにより、10年目以降、自立した研究者や臨床医として自身のキャリア継続と医療の発展を同調させて考えられる人材の育成を目指します。


実施体制

鳥取大学医学部附属病院内に「産業化臨床研究部門」(次世代高度医療推進センター)を設置し、「革新的未来医療創造コース」の支援を積極的に行います。産業化臨床研究部門では、学内や企業、外国との調整などにあたるとともに、再生部門、ゲノム部門、医療機器部門、各診療科、低侵襲外科センター、ワークライフバランス支援センター、グローバル人材育成事業を実施している工学部や農学部、地域学部とも連携し、学生の教育を担当します。
大学院コースにおいては、機器開発、再生医療、ゲノム医療などの高度医療の演習のための設備(再生医療実習用システムなど)も充実しています。