腎臓グループ

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腎臓グループ

1.診療

特徴

腎臓内科では、IgA腎症を始めとする糸球体腎炎やネフローゼ症候群の他、多発性嚢胞腎や電解質異常、急性・慢性腎不全などの腎疾患の診療を中心として、腎臓と深く関わりのある糖尿病や高血圧および膠原病などの疾患について幅広く診療を行っています。また、腎不全が進行した場合には腹膜透析や血液透析の導入を行っており、他科へ入院中の透析患者さんの維持透析や全身管理なども行っています。2022年度には腎センターが開設され、泌尿器科と連携を取りながら腎移植にも携わっています。この他にも、慢性腎臓病の進行と透析導入を防ぐために、開業医の先生方と連携して地域全体で慢性腎臓病を診療する取り組みを推進しています。

腎臓病が疑われる場合

検診などで蛋白や血尿を認めた場合には、腎疾患の可能性があります。腎臓内科では、腎生検などの検査を積極的に行って診断に繋げている他、泌尿器科との連携のもとに診療領域をまたぐ腎疾患についても的確な診断ができるよう務めています。また腎機能が低下した場合にも速やかな診断と治療に繋げられるよう、腎センターを腎疾患に関連する総合的な窓口として迅速な対応を心掛けています。

2.研究

臨床研究

1)慢性腎臓病(CKD)における腎超音波所見の検討

CKD患者を対象に超音波検査による新しい組織硬度測定や腎実質の萎縮度評価により腎機能、腎予後との関係を検討しています。CKD患者を対象に超音波検査で腎皮質/髄質比を測定し、その経時的変化と腎不全の進行について検討しています。Virtual touch quantificationという技術を用いて、腹部超音波下に腎高度測定を行い、非侵襲的な線維化の評価により早朝の腎障害を予測できる可能性が示唆されました。

2)腎臓病のイメージング診断

腎臓内科では、腎臓領域でのあたらしいイメージング法開発に取り組んでいます。腎生検組織に蛍光プローブを用いて緑色やオレンジ色に発光させ迅速評価を可能とする手法を見いだしました。

3)腎臓病とサルコペニア

筋肉量と筋力の低下を特徴とするサルコペニアは、腎疾患患者さんの生活の質や合併症などと密接に関連するのに加えて、腎機能の正確な評価にも影響を与えます。腎臓内科では、“筋肉の質"に着目して腎臓病診療におけるサルコペニアの問題解決に取り組んでいます。

基礎研究

1)尿細管上皮細胞機能

ヘンレ係蹄上行脚と遠位尿細管のネフロンで産生されるuromodulinに着目しています。細胞接着やシグナル伝達を調節や尿路結石の予防効果が知られていますが、新たな分子生理学的作用を解析します。

2)腎臓病と脂質代謝

肝臓への脂肪沈着はNASHという病態として広く知られています。腎臓においても、尿細管への脂肪沈着は腎障害を起こしますが、その詳細については不明です。動物モデルを用いて、尿細管への脂肪沈着に随伴する腎障害のメカニズムについて小胞体ストレスに着目して研究を進めています。

3)腎疾患とイオウ代謝

イオウ原子を中心とする代謝は、酸化ストレスに応答する原始的な機構で特に嫌気的代謝の際に重要な役割を担うことが想定されています。腎臓のなかでも特に尿細管は低酸素に暴露されやすく、糖尿病性腎をはじめとした腎疾患の進行に深く関わります。当科では、尿細管におけるイオウ代謝に着目して慢性腎臓病に関わるこれまで知られていなかった病態の解明と新しい治療法の発見を目指して研究を進めています。