消化管グループ

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消化管グループ

1.概要

消化管グループでは食道、胃、小腸、大腸における良性疾患、悪性疾患を対象としています。特に専門治療を要する病気の診療が中心となっており、炎症性腸疾患の診断治療、早期の消化器がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などを積極的に行っております。2021年度からは内視鏡AIを導入し、精度の高い内視鏡の検査を患者さんに提供しています。

2.ポリシー

高水準で患者さんに身体的な負担の少ない治療を目指します。
当グループでは、消化器疾患全般に対して、山陰地方でありながら、都会で治療するのと変わりない高水準でかつ低侵襲(身体的な負担が少ない)な治療を、短期間に集中して行うことを基本姿勢としています。

3.特徴

臨床だけでなく、消化器疾患の診断・治療における新知見の研究を行っています。
目の前の疾患に対する診療はもちろんですが、消化器疾患の診断・治療におけるあらたな知見の開拓にも日夜努めています。東京大学など様々な施設と共同研究を行っています。

以下に当科で力を入れている診療について記載していきます。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)について

炎症性腸疾患の原因は不明であり、治療も長期間にわたって行う必要がありますが、近年は適切な治療で症状をコントロールできるようになってきました。炎症性腸疾患の治療は薬の開発により多岐にわたっています。当科では最新の生物学的製剤を含めて治療法について詳細に検討し、患者さんに合わせた治療を提供していきます。また同じ第二内科診療科群には腎臓グループも所属しており、GCAPなど炎症性腸疾患の治療オプションについても対応できます。そして当科では炎症性腸疾患における研究も積極的に行い、患者さんの長期的な予後の改善を目指します。
毎週月曜日に磯本教授による炎症性腸疾患専門外来を行っています。お困りの方がおられたら是非ご相談ください。

内視鏡治療(高難度ESD、PDT、POEM)について

1.食道がん、胃がん、大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について

消化管がんに対するESDは患者さんの身体的負担が少なく、根治が狙える内視鏡治療です。当科では他院で治療が難しいと予想された高難度症例に対しても積極的にESDを施行しております。年間のESD件数は現在200件を超え、安定した治療を提供できます。

10cm以上の大きさがある早期胃がんに対するESD症例
外科手術を回避できた巨大な早期大腸がん対するESD症例

ESDに関する論文も複数報告しています。

2.食道アカラシアに対する内視鏡的筋層切開術POEMについて

食道アカラシアとは食道の神経に異常を認め、食べ物を飲み込んでもつかえる、口の中への逆流する、胸痛、誤嚥性肺炎などの症状を生じる原因不明の疾患です。治療法としては薬物療法、バルーン拡張術、外科手術が行われてきましたが、2008年に昭和大学江東豊洲病院の消化器センター長 井上晴洋教授が「POEM (ポエム)」と呼ばれる内視鏡治療を開発しました。POEMは従来のバルーン拡張術に比べて有効性が高く、外科手術よりも低侵襲であり、その優れた治療効果と安全性から2016年4月から保険適応となりました。当院でもこの治療法の開発者である井上晴洋先生の協力の下、山陰地方で1例目となるPOEMを行い、施設基準も受理しております。現在まで50症例以上を経験しています。

*下記にアカラシアの説明動画がアップされています。ご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=AaXHM4dKT5M&t=9s

食道アカラシアについても積極的に論文報告しています。

3.化学放射線療法後の局所遺残再発食道がんに対する光線力学的療法(PDT)について

食道がんの治療には、内視鏡治療、外科治療、化学療法、放射線療法があり、これらを組み合わせて治療を行います。最近では高齢化により、外科手術が難しい症例が増加し、化学放射線治療(放射線治療と化学療法の併用)を行う機会が増えてきています。効果のある治療ではありますが、食道にがんが残る(遺残)、一旦効果があったものの再発してしまうこともあります。このような遺残再発食道がんに対しては、従来は化学療法、または外科手術を行います。しかし化学療法では効果に限りがあること、また外科手術はリスクが高まるため、それら弱点を補う治療としてPDTが導入されました。PDT治療を実施できる施設は少なく、現時点で中国地方においては当院だけです。この治療は対象者が、化学放射線療法後の遺残再発食道がん患者に限られていますが、従来サルベージが困難であった患者さんに対して、がん根治への新たな一歩となるよう、普及に努めていきます。

*病院のホームページにも詳細が記載してあります。ご参照ください。
https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/introduction/3105/3106/21192.html

化学放射線療法後の局所再発に対するPDT症例

PDTの治療成績など論文報告しています。

がんの早期診断、光線力学的診断(PDD)について

当科では早期消化管がんの診断に積極的に取り組んでいます。その中で、光感受性物質を用いてがんを早期発見することを目指した光線力学的診断PDDに注目しています。PDDは検査前に光感受性物質である5-ALAを内服して、数時間後に内視鏡で観察すると病変が蛍光します。これによって早期がんの発見が容易になることを期待しています。当科では特定臨床試験として取り組んでいます。

早期胃がんに対するPDD症例

PDDについての報告した論文です。

「内視鏡画像診断支援システム」AIの導入について

大腸内視鏡検査においてAIを用いて病変をみつけることができる、内視鏡画像診断支援システム「CADEYE™」、「EndoBRAIN®-plus」を導入しています。この2種類のAI内視鏡画像診断支援システムが同時に揃うのは、中国地区では当院が初となります。これにより、ベテランの専門医でなければ見逃してしまっていたような病変であっても、検知することが可能になり、精度の高い内視鏡の検査を患者さんに提供できることが期待されます。

AIがポリープ検出
AIによる疾患鑑別支援