完全胸腔鏡手術から胸腔鏡補助下手術まで、さまざまな形で胸腔鏡を用いて低侵襲手術の実現をめざしています。低肺機能患者から80歳を超える超高齢者まで低侵襲手術は可能です。
特に、肺切除量を減じた縮小手術に力を入れており、肺癌の進行度に応じて胸腔鏡下肺部分切除、肺区域切除+リンパ節郭清、肺葉切除+リンパ節郭清などの術式を選択しています。胸腔鏡手術は小さな傷、少ない痛み、早い回復が特徴で、当科の得意分野です。
最近では肺門部リンパ節転移のある肺癌や大きな腫瘍の肺癌にも適応されるようになっています。
当院では平成22年8月内視鏡手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)を導入しました。
その後トレーニングを重ねて認定証を取得した後、平成23年1月より肺癌に対するロボット支援手術を開始し、良好な結果を得ています。
適応は大きさが3cmくらいまでのリンパ節転移のない肺癌です。
ダ・ヴィンチの特徴は3Dカメラを有し、自由自在に動くロボット鉗子と手振れのない正確な操作です。
問題は現在まだ保険適応がない手術ですので、詳細は当院の医療サービス課もしくは当科へ直接お問い合わせください。
進行肺癌に対しては浸潤臓器の合併切除および再建を積極的に行っています。
再建材料にも注意を払い、生体親和性、耐久性、感染抵抗性を重視し、成績向上に努めています。
また、呼吸器内科や放射線科との診療連携により、術前補助療法(放射線、化学療法)を行い、進行癌においても根治性の高い治癒切除を重視しています。
心大血管の合併切除が必要な場合は心臓血管外科と協力して手術を行っています。
肺門部の肺癌に対しては気管支形成術も積極的に行っており、肺機能を温存し、かつ根治性の高い手術を行うように努めています。
2名の日本臨床腫瘍学会暫定指導医、2名のがん治療認定医により、進行肺癌、再発肺癌に対して化学療法を積極的に行い、病状の軽減やQOLの改善に努め、手術適応があれば迅速な対応を図るようにしています。
また、気道狭窄に対しては呼吸器内科や放射線科との共同診療により硬性気管支鏡を用いて、気管支鏡下レーザー治療やステント留置を行っています。
転移性肺腫瘍は手術が可能であるほど予後良好の傾向があり、胸腔鏡手術のよい適応です。
診断目的の手術の場合もあります。
一般的には原発巣がコントロールさていること、他臓器転移がないこと、肺転移個数が限られている場合がよい適応になります。
転移性肺腫瘍は抗がん剤治療も重要ですが、手術は集学的治療の一環として積極的に行う方針にしています。
良性の肺疾患は在院日数を短縮による早期社会復帰が原則であり、術前入院期間の短縮、低侵襲である胸腔鏡手術による患者負担の軽減を主眼においています。
特に、気胸、血胸は24時間の救急対応をしており、手術適応があれば、臨時の急患対応で胸腔鏡手術を行い、早期退院が可能です。
また、胸膜炎や膿胸も救急で胸腔ドレナージあるいは胸腔鏡手術を行い対応しています。
低肺機能である巨大肺嚢胞や慢性肺気腫患者には適応を慎重に判断しながら、胸腔鏡下巨大嚢胞切除術や肺容量減少手術を行い、肺機能の回復やQOL改善を目指しています。
縦隔腫瘍は多彩であり、悪性度、発生部位や大きさに応じて、胸腔鏡を積極的に使用して手術を行っています。また元来、縦隔腫瘍は診断が困難なため、胸腔鏡のみならず縦隔鏡を有効に使用することで病理学的確定診断をえて、適切な治療を早期に開始できるように配慮しています。
縦隔腫瘍は肺癌手術同様にロボット支援手術のよい適応です。
特に胸腺腫を代表とした前縦隔腫瘍はアプローチの難しい部位に存在しているため、通常の胸腔鏡手術よりもロボット支援手術の方が容易に手術可能な場合もあります。
現時点では保険適応のない手術ですので、詳細は当院の医療サービス課もしくは当科へ直接お問い合わせください。
重症筋無力症は拡大胸腺摘出術の適応があります。
しばしば胸腺腫を合併することから手術が重要な疾患です。
低侵襲手術である胸腔鏡手術を積極的に行っており、術後経過が良好です。
脳神経内科と共同診療を行うと同時に、最近は小児例にも積極的に手術を行っており、脳神経小児科とも連携をとっています。
当科では平成23年1月に本邦初となる重症筋無力症に対するロボット支援胸腔鏡下拡大胸腺摘出術を行いました。
現在まで3例の手術を行い、良好な経過を得ています。
胸腔鏡手術と比較しても、小さな傷、少ない痛み、早い回復が期待されています。
欧米ではすでに1000例以上の実績があり、最近ではロボット支援手術をした場合は重症筋無力症の寛解率がよいというデータもあり、今後の検討が期待されています。
胸壁疾患は再建術を必要とすることが多く、形成外科との診療連携を行っています。
悪性腫瘍では呼吸器内科、放射線科と連携して抗がん剤治療や放射線治療との併用を行います。
最近の注目疾患である胸膜中皮腫はアスベスト外来を行っている当院呼吸器内科との連携で、胸膜CTで胸膜肥厚病変を発見した場合にはアスベスト曝露歴を鑑みて、胸腔鏡下胸膜生検の適応を検討します。
手術は胸膜肺全摘術を行っており、進行例では呼吸器内科と協力して抗がん剤治療、放射線治療を行っています。横隔膜腫瘍や横隔膜ヘルニアも手術対象疾患です。
胸腔鏡を使用したペクタスバーによる胸骨挙上術を行っています。
側胸部からのアプローチになるため、創部が小さく、正中創がないのが利点です。バーは2~3年の留置後に抜去します。
手掌多汗症はまだまだ知名度が低い疾患の一つですが、罹患数は予想以上に多く、悩みをかかえた人がたくさんおられます。
適応を慎重に判断した上で美容的配慮も鑑み、細径3mmのスコープを使用して胸腔鏡下胸部交感神経切断術を施行しています。
1泊2日の入院が原則で、これまで全例で術後の発汗が停止しており、高い満足度を得ています。
肺がんに対する外科治療を低侵襲の胸腔鏡手術から気管支形成術、拡大手術まですべて行います。
未確定診断の肺腫瘤、早期肺がん、進行・再発肺がんまで治療経過表(クリティカルパス)を用いた標準治療を行います。
呼吸器外科領域におけるロボット(ダ・ヴィンチ)支援手術の適応は肺癌、縦隔腫瘍、重症筋無力症です。
ダ・ヴィンチの特徴は3Dカメラを有し、自由自在に動くロボット鉗子と手振れのない正確な操作です。
"人の手の能力を超えて手術する"がキャッチフレーズで、大変魅力に溢れ、今後の手術として期待されています。
現在のところは保険適応がありませんので、詳細は当院の医療サービス課もしくは当科へ直接お問い合わせください。
手掌多汗症・腋窩多汗症に対して3mmの細径スコープを用いた胸腔鏡下胸部交感神経遮断術を行います。
入院期間は原則1泊2日です。
禁煙のためのカウンセリングを行い、ニコチンパッチや、禁煙薬を使用した指導を行います。
2名の日本臨床腫瘍学会暫定指導医、2名のがん治療認定医を中心に、肺がん、乳がん患者に対して診療ガイドラインに沿った標準的レジメの外来化学療法を行なっています。
年度 | 術式 | 件数 | 合計 |
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22年度 | 胸腺摘出術 | 3件 | 8件 |
肺癌に対する肺葉(区域)切除(肺葉切除) | 5件 | ||
23年度 | 胸腺摘出術 | 8件 | 18件 |
肺癌に対する肺葉(区域)切除(肺葉切除) | 10件 | ||
24年度 | 胸腺摘出術 | 4件 | 10件 |
肺癌に対する肺葉(区域)切除(肺葉切除) | 5件 | ||
後縦隔腫瘍摘出術 | 1件 | ||
25年度 | 胸腺摘出術 | 3件 | 14件 |
肺癌に対する肺葉(区域)切除(肺葉切除) | 7件 | ||
後縦隔腫瘍摘出術 | 4件 | ||
26年度 | 胸腺摘出術 | 3件 | 8件 |
肺癌に対する肺葉(区域)切除(肺葉切除) | 3件 | ||
後縦隔腫瘍摘出術 | 2件 |
平成26年9月現在
事前に診療予約をお取りすることはできません。 8:30~10:30までに外来棟1階(正面玄関を入って右側)にあります、新来受付窓口で手続きを行った後、 外来棟3階の胸部外科外来へお越し下さい。
紹介元医療機関(紹介状を作成して頂いた医療機関)を通じて、当院医療福祉支援センターへFAXして頂き、 受診予約をして下さい(詳細は紹介元医療機関へお尋ね下さい)。
当院医療福祉支援センターから紹介元医療機関に診療予約票・診療予約連絡票をおりかえしFAX致します。 受診日当日、診療予約票・診療予約連絡票・紹介元医療機関からの紹介状を持参し、予約時間の10分前までに 外来棟1階(正面玄関を入って右側)にあります、医療福祉支援センターへお越し下さい。
事前に診療予約をお取りになりたい場合には、胸部外科外来受付(0859-38-6732)へ電話にてお問い合わせ下さい。
診療予約をされていない場合は、8:30~10:30までに外来受付窓口(正面玄関を入って右側)へお越し下さい。
診察券をお持ち頂き、外来棟1階の自動再来機または再来受付窓口で受付を行った上で、外来棟3階の胸部外科外来へお越し下さい。 診療予約を希望される方や診療予約の変更を希望される方は、胸部外科外来受付(0859-38-6732)へ電話にてお問い合わせ下さい。
研修医 宮本竜弥 (みやもとたつや) |
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医局秘書 山田由美子 (やまだゆみこ) |
医局秘書 栂 淳子 (とがじゅんこ) |
医局秘書 福田智子 (ふくだともこ) |
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