2002年9月17日
発行人 豊島良太
発行責任者 萩野 浩
鳥取大学附属病院
リハビリテーション部
鳥取大学医学部附属病院では、これまでの「理学療法部」の拡充を行い、平成14年4月から「リハビリテーション部」を開設致しました。
人口の高齢化と医療技術の進歩によって、疾病や障害の重症化と重複化は日々に増しており、それに応じてリハビリテーション医学の重要性も急速に高まってきました。その対処すべき領域についても、これまでの神経・筋・骨格系を中心とした運動機能障害のリハビリテーションのみならず、呼吸器系や循環器系のリハビリテーションも求められています。リハビリテーションのタイミングについても、発病や手術の直後からの早期リハビリテーションの重要性が認知されるようになりました。こうした社会状況や要望に応えるため、リハビリテーション部が設けられた次第です。
リハビリテーション部の開設にともない、「リハビリテーション部だより」を発刊することとなりました。障害を持つ人がその障害を克服し、地域社会において生き甲斐のある生活を送れるよう支援するためには、全医療スタッフがコミュニケーションを取り合って、個々の障害に合ったオーダーメードのリハビリテーション医療が必要です。「リハビリテーション部だより」はリハビリテーション部からのお知らせや、広範囲に及んでいるリハビリテーション医学の情報を発信して、医療スタッフの方々のお役に立ちたいと考えております。
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本院におけるリハビリテーション部の起源は、昭和24年(1949年)に整形外科が開設されて間もなく、その一室に「物療室」として誕生したのが始まりです。昭和54年(1979年)10月には「理学療法部」に発展し、専任医師1名・理学療法士3名・作業療法士2名・事務職員1名でスタートしました。その23年後、平成14年(2002年)4月に組織拡充が図られ「リハビリテーション部」となりました。 改めて記すこともありませんが、当部の場所は外来・中央診療棟の1階で病棟側に最も近い場所に位置し、総面積は452平方メートルを占めています(右図参照)。 施設認定基準としては今年の8月に 「総合リハビリテーション施設」を取得しました。 現在は中央診療施設に属しており、各科からの紹介により診療を行っています。1日の対応患者数は平均100名で、そのうち90名が入院患者であり、訪室(往診)でのリハビリが40パーセントを占めています。 |
リハビリテーションとは・・・。非常に難しい問題です。
「リハビリテーションとは障害を受けた者を、その人のなし得る最大の身体的・精神的・社会的・職業的・経済的な能力を有するまでに回復させることである」と定義されています。一見分かりやすくて簡単なように思われますが、医療の専門性が細分化されていく傾向にあるなか、リハビリテーションは時代の経過とともに、各診療分野とのかかわりが広範多岐にわたるようになっています。
患者様(障害者)を中心としたリハビリテーションは医学的リハ・社会的リハ・職業的リハに大別され、私たちが携わっている領域は医学的リハビリテーションとなります。医師をはじめ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・義肢装具士・臨床心理士・ソーシャルワーカー・その他多くの専門職がチームとして機能する必要があります。
編集後記米国同時多発テロ事件からようやく1年となりますが、その間に目まぐるしく世の中が変化しました。国内外でこの1年間に起こったことは、だれも1年前には予想できなかったでしょう。医療の世界も例外ではなく、本年4月には保険点数の引下げが行われ、包括医療の導入も予定されています。1年後のことを知ることは不可能ですので、毎日出来ることを着実に行う努力をしたいものです。(萩)