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鳥取大学医学部附属病院
卒後臨床研修センター
〒683-8504
米子市西町36番地1
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プログラムの基本方針・プログラムの特徴と構成

本院における研修プログラム作成の基本方針と本院の研修プログラムの特徴と構成

1)プログラムの基本方針

上記「研修理念」と「到達目標」を実現するために、以下の基本方針を設ける。

  1. 医師としての人格を涵養し、将来の専門性にかかわらず、全人的な幅広い基本的診療能力(知識、技能、態度)を身につけた医師を養成する。
  2. 患者ならびに患者家族の視点に立ち、その心理・社会的側面をも十分に理解できる医師を養成する。
  3. 山陰地方の地域医療の特殊性を十分に考慮し、地域の医療機関が一丸となった研修医教育体制を構築する。
  4. 研修医個人に着目したプログラムとする。
  5. マンツーマン方式を基本とし、適切な研修医ならびに指導医評価体制

2)プログラムの特色

 1.自由選択プログラム、最先端外科専門プログラム、精神科プログラム、小児科系プログラム、産科婦人科プログラム、救急・集中治療医プログラム、山陰たすきがけプログラム、関西たすきがけプログラムの計8つのプログラムにより、研修医のニーズにあった研修を可能としている。
 2.本院では複数の疾患を有する患者が多いため、各患者に対して複数の診療科が積極的な協調体制をとりながら診療にあたっている特徴を生かし、各専門診療科をまわりながらも、疾患を診るのではなく総合的に患者を診る能力を身につけることが可能となる。
 3.各患者の診断、治療方針の決定においては、本院が有する多領域にわたるspecialistとともに患者データを充分に検討し、エビデンスに基づいた医療を実践できる能力を身につける。さらには、エビデンスが確立していない領域において理論立てて方針を決定する能力を養う。
 4.本院の特徴の1つとして多岐にわたる領域で充実したコメディカルスタッフを有しており、彼らとの連携の元でチーム医療による介入を研修する。
 5.医療安全取り組み報告研修会、感染対策セミナー、接遇講演会などを実施し、医療従事者としての基本を身につける。
 6.院外講師を招いてセミナーを開催し、幅広い視野と知識を有する医師となるサポートを行う。
 7.一次から三次まで多種多様な救急患者が訪れるという本院の特徴を生かし、ローテーションでまわっている診療科とは関係なく、2年の研修期間には一定の頻度で指導医とともに救急外来の日直、当直を行い、軽症から重症まで幅広い救急研修を効率的に行う。
 8.臨床に携わる医師として必要な知識、技能を集中的に修得するためのプログラムとして、臨床研修開始時に、看護部、薬剤部、放射線部、輸血部、検査部、医療情報部、リハビリテーション部、事務部などでの、「プレローテーションカリキュラム」を行う。さらに、医師としての自覚を促し、患者や医療スタッフとの良好な人間関係を構築できるように「ホスピタリティ研修」を行っている。この研修は医師のみならず看護師・薬剤師等コメディカル職員と合同で行うことによりチーム医療の重要性を認識し、構築することを目指す。
 9.研修医主導型の臨床研修セミナー(症例カンファレンス、シミュレーター研修、セミナーなど)を定期的に行い、研修医の基本的診療能力を高める。
10.病理解剖を通じて臨床経過と疾患の本態との関連を総合的に理解する能力を身につけるために臨床病理カンファレンス(CPC)を開催する。
11.研修医の精神的サポートのために、メンター制度を取り入れ定期的に研修医と面談を行い、さらに研修医による自己ストレステストを行い、事前に研修医の精神的な問題を拾い上げ、研修中断を事前に防ぐ。
12.卒後臨床研修センターに専任教員、事務職員を配置し研修をサポートするとともに、卒後臨床研修委員会において研修内容の評価・見直しを定期的に行い研修プログラムの向上に努める。
13.学会、研究会、セミナーにおいて症例報告発表を経験する。

■3)臨床研修プログラムの概要

(1)自由選択プログラム
1年目に内科6ヶ月(第1内科:内分泌・代謝と循環器、第2内科:消化器と腎臓、第3内科:呼吸器と膠原病、神経内科、血液内科の5診療科のうち1~3診療科をそれぞれ2ヶ月以上選択)、救急3ヶ月、残りの3ヶ月で選択科目を研修する。なお、選択科目は将来専門としたい診療科を中心に選択するものとする。2年目に必修科目の地域医療を1ヶ月、選択必修科目の外科、小児科、産婦人科、精神科、麻酔科のうち3科目を研修し、残りの8ヶ月は全て自由選択期間となり、好きな診療科を選択できる。またこのプログラムは、関連基幹型病院とのたすき掛けを可能とし、研修医の希望に沿えるテーラーメードプログラムとなっている。
(2)最先端外科専門プログラム
1年目に内科6ヶ月(第1内科:内分泌・代謝と循環器、第2内科:消化器と腎臓、第3内科:呼吸器と膠原病、神経内科、血液内科の5診療科のうち1~3診療科をそれぞれ2ヶ月以上選択)、外科6ヶ月(第一外科:消化器と小児、心臓血管外科、胸部外科:胸部と乳腺・内分泌の3診療科全てを選択)を研修する。2年目に必修科目の地域医療を1ヶ月、選択必修科目1.5ヶ月(小児科、産婦人科、精神科、麻酔科のうち2診療科を研修)、外科4.5ヶ月、救急3ヶ月を研修し、残りの2ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。また、自由選択は到達目標に問題がなければ原則として麻酔科2ヶ月の研修を推奨する。
1年目外科6ヶ月は大学での研修とし、原則として外科から研修を開始する。
(3)精神科プログラム
1年目に内科6ヶ月(第1内科:内分泌・代謝と循環器、第2内科:消化器と腎臓、第3内科:呼吸器と膠原病、神経内科、血液内科の5診療科のうち1~3診療科をそれぞれ2ヶ月以上選択)、救急3ヶ月、精神科3ヶ月を研修する。2年目に必修科目の地域医療を1ヶ月、選択必修科目2ヶ月、精神科7ヶ月を研修し、残りの2ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。
(4)小児科プログラム
1年目に内科6ヶ月(第1内科:内分泌・代謝と循環器、第2内科:消化器と腎臓、第3内科:呼吸器と膠原病、神経内科、血液内科の5診療科のうち1~3診療科をそれぞれ2ヶ月以上選択)、救急3ヶ月、小児系3ヶ月(小児科、脳神経小児科)を研修する。2年目に必修科目の地域医療を1ヶ月、選択必修科目3ヶ月、小児系7ヶ月(小児科、脳神経小児科)を研修し、残りの1ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。
(5)産科婦人科プログラム
1年目に内科6ヶ月(第1内科:内分泌・代謝と循環器、第2内科:消化器と腎臓、第3内科:呼吸器と膠原病、神経内科、血液内科の5診療科のうち1~3診療科をそれぞれ2ヶ月以上選択)、救急3ヶ月、産科婦人科3ヶ月を研修する。2年目に必修科目の地域医療を1ヶ月、選択必修科目1ヶ月、産科婦人科8ヶ月を研修し、残りの2ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。自由選択は到達目標に問題がなければ原則として麻酔・小児から選択する。
(6)救急・集中治療医プログラム
1年目に内科6ヶ月(第1内科:内分泌・代謝と循環器、第2内科:消化器と腎臓、第3内科:呼吸器と膠原病、神経内科、血液内科の5診療科のうち1~3診療科をそれぞれ2ヶ月以上選択)、麻酔・ICU3ヶ月を研修し、1年目の1月から2年目の12月まで協力型病院の国立災害医療センター、藤沢市民病院、兵庫県災害医療センターにおいて救急を研修する。(原則として6ヶ月単位で2箇所の協力型病院において行う。)2年目の1月から必修科目の地域医療を1ヶ月、選択必修科目1ヶ月、残りの1ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。2年目の選択必修および自由選択は、修了認定に必要な到達目標を考慮して選択する。
(7)山陰たすきがけプログラム
1年目に協力型病院の鳥取県立中央病院、鳥取赤十字病院、鳥取県立厚生病院、山陰労災病院、松江赤十字病院、松江市立病院、島根県立中央病院、国立浜田医療センターにおいて内科6ヶ月、救急2ヶ月、選択必修3ヶ月を研修し、残りの1ヶ月を自由選択とする。2年目は必修科目に地域医療を1ヶ月、本院において救急1ヶ月、残りの10ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。
(8)関西たすきがけプログラム
1年目に協力型病院の財団法人田附興風会医学研究所北野病院、大阪市立総合医療センター、大阪労災病院、関西労災病院、大阪警察病院において内科6ヶ月、救急2ヶ月、選択必修科目3ヶ月を研修し、残りの1ヶ月を自由選択とする。2年目に必修科目の地域医療を1ヶ月、本院において救急1ヶ月、選択必修科目1ヶ月、残りの10ヶ月を本院の全診療科を対象とした自由選択とする。

■4)研修の内容

(1)必修科目について
(ア)内科研修

  1. 主に指導医とともに入院患者の診療を行う。
  2. 外来患者の問診や基本的な検査も指導医とともに担当する。
(イ)救急研修
  1. 救急の研修は原則として救急外来で救急指導医とともに3次救急医療に参加する。
    さらに救急科の入院患者の診療にあたる。また、救急外来当直(場合によっては院外の救急外来)を行い、当直指導医とともに1次、2次救急の患者の初期治療にあたる。
  2. 「救急・集中治療医コース」においては、1年目の1月から2年目の12月までの12ヶ月間を院外の協力型病院において研修する。
    ※主な協力型病院
    ・国立病院機構災害医療センター
    ・藤沢市民病院
    ・兵庫県災害医療センター
  3. 地域医療は、在宅医療を含むへき地・離島医療としていずれかを選択し、1ヶ月研修する。なお、希望があれば選択期間を利用して社会福祉施設・介護老人保健施設を含む保健所研修も可能であるが、原則として合計3ヶ月を越えないものとする。
  4. コモン・ディジィーズに対応できるようにするため、西部医師会急患診療所での研修を行う。
  1. 選択必修科目について
     外科、小児科(小児科、脳神経小児科のうち1科)、産科婦人科、精神科、麻酔科から2科目以上を選択し研修する。なお、これらの選択必修科目を更に重視する研修医は、次の自由選択科目ローテーションを利用して追加研修が可能である。

(2)選択科目研修について

  1.2年間の研修期間のうち2年目の自由選択の期間に行う。

   2.研修医は1科(部)以上選択し、研修する。選択ローテーション該当科(部)は以下のとおりである。
循環器内科、内分泌代謝内科、消化器内科、腎臓内科、呼吸器内科、膠原病内科、神経内科、精神科、小児科、脳神経小児科(遺伝子治療科を含む)、消化器外科、小児外科、心臓血管外科、胸部外科、乳腺内分泌外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、女性診療科、麻酔科、歯科口腔外科、脳神経外科、血液内科、形成外科、リハビリテーション部、救命救急センター、高次集中治療部、病理部、医療情報部、高次感染症センター

なお、事前に調整することにより、鳥取大学医学部教育関連病院(以下関連病院)の診療科(部)での研修も可能である。

  1. 本院の診療科(部)を選択する場合には、原則として1科(部)あたりの研修期間は1ヶ月以上とする(期間に応じたカリキュラムを提案する)。
  2. 関連病院の診療科(部)を選択する場合には、原則として1科(部)あたりの研修期間は1ヶ月以上とする。
なお、2年目の選択科目ローテーションの各々の研修期間については、研修医の希望を受けた上で研修センターが調整する。
  1. 評価方法
    (ア)EPOC-オンライン研修評価システムに基づいて行う。これには、研修医による自己評価・指導医の評価・研修環境の評価、指導医による研修医の評価・自己評価・研修環境の評価が含まれる。
    1. 各診療科、診療ブロック、研修施設の終了時点で評価を行う。
    2. A=特に優れている、B=十分、C=要努力の3段階評価を行う。
    3. 経験すべき症状・病態・疾患については、ガイドラインの項目に準拠する。
    4. 看護師長による研修医の評価は、指導医による研修医の評価に含めてEPOCシステムへ入力する。
    5. プレローテーションカリキュラム終了後には、別途、評価を行う。
    6. 1年目の研修終了時あるいは2年目の中途で、卒後臨床研修センターが評価し、到達目標に足りないところを2年目の自由選択期間に補う。
    7. 研修修了後に、病院長が修了証書を授与する。
    8. 研修を修了していると認められないときは、病院長はその理由を付した文書を発行する。
    (イ)研修手帳
    1. 研修医の備忘録として研修手帳を作成し、各研修医が所持する。
    2. プレローテーションへの受講証明を記載してもらう。
    3. 研修委員会より手帳の提出を求められたときはすみやかに提出する。
    (ウ)研修プログラムの自己点検・評価
    1. 研修プログラム(研修施設、研修体制、指導体制)が効果的かつ効率よく行われているかについて定期的に研修管理委員会が中心となって自己点検・評価を行う。
    (エ)定期的に研修医との間で目標設定、振り返り、フィードバックを行い、次に繋げるための形成的評価を行う。

 本院と教育関連病院における卒後臨床研修

  1. 本院は平成25年度の卒後初期臨床研修において、研修医が各々のニーズに応じて柔軟に研修プログラムを設計し、充実した臨床研修が行えるために教育関連病院群(協力型臨床研修病院)と協力して研修を行う。将来の希望によって大学病院での研修が適している場合もあれば、教育関連病院での研修がより有意義な場合もある。各研修医の研修プログラムについては、研修医の希望プログラム(研修希望病院と研修希望診療科)と研修協力病院の研修体制を考慮して研修センターで調整する。例えば、2年目の研修を大学病院以外の研修協力病院で行いたい、そして小児・産婦人科の研修に重点をおきたいという希望を研修医が出した場合は、小児と出産を数多く経験できる研修協力病院を2年目に研修できるプログラムを卒後臨床研修センターが作成する。

    山陰地方に置いては、鳥取県立中央病院、鳥取赤十字病院、鳥取生協病院、鳥取市立病院、鳥取県立厚生病院、山陰労災病院グループ(博愛病院、米子医療センターを含む)、松江赤十字病院、松江市立病院、松江生協病院、島根県立中央病院、浜田医療センター、益田赤十字病院、津山中央病院が基幹型臨床研修病院であり、基幹型臨床研修病院を本院の協力型臨床研修病院として登録している。すなわち、これらの病院はそれぞれ独自に研修医を募集するが、本院からの要請で本学の卒後研修プログラムに応募した研修医各人の希望に沿って、1年目または2年目に本院のプログラムへの応募者も受け入れる。

    本院に在籍して研修できる人数は1年目、2年目とも44名であり、あわせて約88名である。鳥取県立中央病院、鳥取赤十字病院、鳥取生協病院、、鳥取市立病院、鳥取県立厚生病院、山陰労災病院グループ、松江生協病院、松江市立病院、島根県立中央病院、浜田医療センター、益田赤十字病院、津山中央病院では希望に応じて、1年目を関連基幹型病院、2年目の鳥取大学病院のたすき掛けが可能である。一方、1年目大学病院、2年目関連基幹型病院に関してもたすき掛けが可能である。関連基幹型病院の定員の関係も有り、年度によってまた病院によって受入可能人数が変動する。

    以上のように、本院の研修プログラムは、個々の研修医の希望をできうる限り取り入れ、充実した研修を行うことができるように構成されている。

  2. 協力型病院
病  院  名 院  長  名 指 導 責 任 者
鳥取県立中央病院 日野 理彦 内田   博
鳥取赤十字病院 福島 明 西土井 英昭
国立病院機構鳥取医療センター 下田 光太郎 坂本  泉
渡辺病院 渡辺 憲 山下 陽三
鳥取県立厚生病院 前田 迪郎 秋藤 洋一
倉吉病院 田中 潔 田中 潔
三朝温泉病院 森尾 泰夫 石井 博之
国立病院機構米子医療センター 濱副 隆一 南崎 剛
山陰労災病院 石部 裕一 杉原 三郎
博愛病院 角  賢一 原田 友一郎
養和病院 坂元 俊文 廣江 ゆう
米子病院 松本  久 鎌田  修
鳥取県済生会境港総合病院 稲賀  潔 稲賀  潔
安来第一病院 杉原 克比古 杉原 克比古
松江赤十字病院 秦  公平 大居 慎治
松江生協病院 大田  誠 大田  誠
松江市立病院 錦織  優 村上 林兒
島根県立中央病院 中川 正久 平田 彰業
国立病院機構浜田医療センター 石黒 眞吾 日野 理彦
益田赤十字病院 河野 龍之助 岸本 弘之
公立八鹿病院 岩井 宣健 片山  覚
北野病院 内山  卓 越山 裕行
大阪市立総合医療センター 岸  廣成 嶋岡 英輝
京都ルネス病院 冨士原 正人 冨士原 正人
国立病院機構災害医療センター 林  茂樹 小井土 雄一
藤沢市民病院 城戸 泰洋 阿南 英明
兵庫県災害医療センター 小澤 修一 冨岡 正雄
県西部浜松医療センター 小林 隆夫 矢野 邦雄
鳥取市立病院