手術の際、切る部分が大きくなればなるほど、痛みを伴うとともに痕が残りやすく、また普段の生活に戻るまでに時間がかかります。さらに、患部によっては、切ることで大事な機能が失われることがあります。例えば前立腺がんの切開手術は、尿失禁やED(勃起不全)などの合併症を伴う場合があります。
できるだけ体を傷つけずに手術をすることで、体への負担を最小限にし、また合併症のリスクを少なくし、手術後の回復を早めることができたら…。
そんな患者様のQOL(quality of life=生活の質)を尊重した手術が、今、行われるようになってきています。「低侵襲(ていしんしゅう)手術」と呼ばれているものです。
本院では、その先駆的な役割を果たす手術支援ロボット(ダヴィンチS)を、2010年8月に山陰で初めて導入し、2011年2月より「低侵襲外科センター」を設置し、診療科の垣根を越えて、その実現に向けて取り組んでおります。
各科連携を図り、患者様がより体にやさしい手術を受けられようサポートいたします。
診療科の垣根を越え、病院全体で患者様の体にやさしい手術に取り組み、また高度・先進医療の安全性を確保するために設立いたしました。 「低侵襲外科センター」センター長 泌尿器科長 |
当院は国内のロボット支援手術の先陣を切っており、 手術の選択肢が増えれば、患者様にとってたいへん有益です。 鳥取から将来の医療の道を切り開きたいと思っています。 胸部外科長「低侵襲センター」 副センター長 |
ダヴィンチSという医療用ロボットを使った手術です。内視鏡下手術によって、患者様の負担を大幅に減らすことができました。内視鏡下手術同等の体に対する負担で、さらに高度で複雑な手術ができるように開発されました。
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内視鏡下手術同等に体にやさしい
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開腹手術のような視覚情報と執刀
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ロボット支援ならではの正確さと速さ
を併せて持った手術です。
最小限の穴を開け、医療器具を挿入 | 3D画面を見ながら執刀医が操作 |
![]() 執刀医の手の動きに連動した |
前立腺がんで手術が必要な場合、一般的に前立腺全摘除術を行ないます。
手術の方法として、開放手術、内視鏡下手術(腹腔鏡下手術)、ダヴィンチ手術(ロボット支援手術)があります。
前立腺は骨盤や恥骨に囲まれ、周りには血管や神経が張り付いますが、
ダヴィンチ手術では、より速く正確に、患者様への負担も少なく手術を行なうことができます。
ロボット支援手術先進国であるアメリカでは、前立腺全摘除術の約9割はロボット支援手術で行なわれています。
分類 | 名称 | 体への負担 | 入院期間 | 主な合併症 | 保険 |
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一般的な手術 | 開放手術 | 下腹部を約15㎝切開 | 約2週間 | 尿失禁、ED(勃起不全) | 保険適応 |
低侵襲(体にやさしい)手術 | 内視鏡下手術(腹腔鏡下手術) | 腹部に5~20㎜の穴を5か所開ける | 約1~2週間 | 尿失禁、ED(勃起不全) | 保険適応 |
ダヴィンチ手術(ロボット支援手術) | 腹部に5~30㎜の穴を6か所開ける | 約1~2週間 | 合併症のリスクは少なく、早期回復 | 保険適応 |