大学病院の謎 第4回 入院の心得・お見舞いの作法



大学病院の謎_01

入院の前に知っておくこと

入院は、患者さんにとっては人生でそうそう経験することのない一大事。経験しないに越したことはないものの、いつその時が訪れるかは分からない。今回は入院・見舞いの心得をとりだい病院を例にお伝えしよう。

入院の仕方にもいろいろあり、通常は診察時に予め日程を調整するのだが、救急搬送されてそのまま入院というケースも少なくない。いずれにせよ、入院が決まると必要書類とともに手続きの方法や必要な物など、入院生活に関するアレコレが詳しく書かれた「入院案内」冊子を看護師から手渡される。大抵のことはこれを読めば解決するので、必ず目を通しておこう。入院時の持ち物で案外忘れがちなのが、筆記用具や携帯電話の充電器、そして常用薬である。院内の売店で購入できるものはいいけれど、薬は医師が処方箋を出さないとお渡しできないため、常用薬のある方は、忘れることがないようご注意いただきたい。

制限ばかりではない、入院中の過ごし方

入院するということは、24時間、医師や看護師の管理のもとで過ごすということでもある。家で自由に過ごすのと違い、スケジュールも行動も制限される上に、大部屋では見ず知らずの人たちと同室で過ごさなければならない。食事が美味しくないとか、隣の人のいびきがうるさくて眠れないなど、入院生活には何かと悩みがつきもの。「病気を治すため」「お互いさま」とある程度は割り切っていただければ幸いだ。そうは言っても、我慢のしすぎは禁物。担当の医師や看護師に遠慮なく相談してみよう。

入院生活は不自由なことばかりではない。病院でも無料でwi-fiは使えるし、不在者投票で一票を投じることもできる。長期入院のお子さんは院内学級で小中学校の教育を受けられる。味気ないと思われがちな病院の食事も、季節の献立や選択メニューも提供され、栄養バランスや工夫も凝らされている。


見舞いの〝生花〟は確認の上で!

大切な人が入院したら「すぐにでもお見舞いに!」と思う人も多いだろう。しかし、相手は病人、そして訪れる先は病院だ。見舞いにも相応のエチケットが必要だということを心得よう。

一つは時間。午前中は検査などで病棟は慌ただしいので、午後2時頃から夕方くらいまでが良識的。面会時間を設けている病院も多いので確認しよう。次に手土産。一昔前は主流だった生花も感染防止や治療の影響で匂いに敏感な患者さんもいるため、持ち込みを断る病院も多い。ではお菓子はどうだろう。これも、患者さんの病状や体調によって栄養管理をしているので、控えた方がいいことも多い。可能であれば、患者さんご本人やご家族に見舞いに訪れてもよいかを確認し、その上で、都合のいい時間や希望の手土産をきいてみるのが望ましい。

聞けそうで聞けない、ホントのところ

医師に心づけを渡すべきかどうか、気にする方もいるかもしれない。現在、ほとんどの医療機関では患者さんからの謝礼(現金や物品)は原則受け取らないことになっている。国公立の病院だと収賄罪に問われる恐れもあるのだ。病気が良くなり、お世話になった医師や看護師にお礼がしたいという気持ちは言葉やメッセージで十分に伝わるはず。

〈入退院センター〉では、入院前から入院中、そして退院後の生活まで、入院にまつわる包括的な支援を専門の看護師や医療ソーシャルワーカーが行なっている。

入院生活で一番肝心なのは、患者さん自身が目標を持って治療に臨むこと。病気で辛いときにはなかなか考えられないかもしれないが、退院後の生活を専門家のアドバイスを得ながら描いていくことは、治療の励みにも確実につながると思う。