リハビリテーションだより 7号

2005年11月21日
発行人 萩野 浩
発行責任者 山川 隆
鳥取大学附属病院 リハビリテーション部


リハビリテーションのスケジュールについての説明とお願い

リハビリテーション実施に当たっては、原則的に、車イスでの移動ができる方は訓練室(1階)で、できない方はベッドサイドで治療を行っております。それぞれの患者様に、治療内容に応じて、リハビリテーション施行の予定を立て、治療時間を割り振っています。リハビリテーション治療は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士それぞれ1名につき、1日に18単位(1単位は20分間)までしか保険診療が認められておらず、1日18単位をスケジュールして、順次、行っています。したがいまして、治療・検査や患者様の都合で、予定の時間にリハビリテーション治療が施行出来ませんと、その日には治療を行うのが困難となります。必ずリハビリテーション予約時間に治療ができますようご配慮ください。ご都合が悪くなった場合には早めにご連絡下さい。

尚、リハビリテーションは包括(DPC)には含まれず、出来高で各診療科の収入に算定されます(20分間当たり180点)。


ADL加算について

ADL加算(50点)は、脳血管疾患等に対する早期の理学療法・作業療法の効果について、病棟でのADL訓練を行った場合に算定できます。しかしながら発症90日以内の症例が対象です。

なお、改定診療報酬点数表のADL加算についての記載は、「病棟等における早期歩行、ADL等の自立などを目的とした理学療法・作業療法以外に係る加算は、訓練室以外の病棟等(屋外を含む)において、早期歩行自立および実用的な日常生活援助における諸活動の自立を目的として、実用歩行訓練・日常生活活動訓練が行なわれた場合に限り算定できるものであり、訓練により向上させた能力については常に看護師等により日常生活援助に生かされる働きかけがおこなわれることが必要である。」となっております。(改定診療報酬点数表参考資料(平成16年4月1日)、日本医師会P291)

実際のADL加算に当たっては、セラピストが、対象患者の訓練内容を加味して、病棟看護師に指導の後、リハビリテーション部門システムに実施入力を行なうことで医事算定できます。

病棟看護師の皆様との連携方法の詳細につきましては、リハビリテーション記録マニュアルを参照してください。


主な留意点

  1. リハビリテーションオーダーの脳血管疾患等に対する早期の理学療法・作業療法の実施内容を確認する
  2. 第1回目の介入時に病棟での看護師による介入が必要とPT、OTが判断した場合、
    1. PT、OTは病棟看護師に介入内容についての指導を行う
    2. PT、OTはリハビリ欄のコメントにADL加算介入について記載する
    3. 病棟看護師は指導内容について看護診断立案またはプラン追加し評価、実施入力をする
  3. 病棟看護師はPT、OTと共に定期的に評価する(1週間ごと)
    1. リハビリ看護師は患者の評価日を把握し、評価日当日に朝9時までに病棟に電話連絡する。(電話連絡先:1.師長もしくは代行 2.リーダー 3.受け持ち看護師)
    2. 評価内容はPT,OTはリハビリコメント欄に、看護師は看護問題評価として記載する

ベッドサイドの運動療法

ベッドサイドでの代表的なトレーニング方法を3つだけご紹介します
長期臥床、術後の早期離床に向けて、患者様にご指導ください。

ベッドサイドの運動療法01
下肢伸展位より股関節屈曲

  • 一側下肢を屈曲する
  • 伸展させた側の下肢を他方の膝の高さまで上げる
  • これを繰り返す

関与する筋:腹筋群、股関節屈筋群
ベッドサイドの運動療法02 両足関節の底背屈運動

  • 両足関節を背屈、底屈させる
  • これを繰り返す

関与する筋:足関節背屈筋群、底屈筋群
ベッドサイドの運動療法03 横隔膜呼吸(腹式呼吸)

  • 患者が横隔膜呼吸(腹式呼吸)パターンを理解すれば患者自身で横隔膜呼吸(腹式呼吸)のパターンを強化することができる
  • 患者は利き手を上腹部に、もう一方の手を上胸部に置く
  • 呼気時に腹部を軽く圧迫し、吸気時に上腹部の手が持ち上がるよう意識する
  • 呼気は吸気の2倍の時間をかけ、腹部が沈むことを意識する

編集後記
いつもリハビリテーション部の運営にご協力いただき、まことにありがとうございます。
これから寒い季節になります。インフルエンザも大流行の兆しです。皆様、お大事に・・・(山)